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頭痛ダイアリーのすすめ

頭痛ダイアリーは短時間での診断や治療効果の評価に有用です

日本頭痛学会 理事長 国際頭痛センター長(新百合ヶ丘ステーションクリニック)
坂井文彦 先生

日常の診療において、頭痛は多く認められる症状であるが、その診断や治療には苦慮することが少なくない。その原因には、多岐にわたる疾患が考えられること、また一次性頭痛においては「痛み」という目にみえない症状が前景となっているため、患者からの情報が得にくいことなどがある。

一次性頭痛のうち慢性頭痛は、片頭痛、群発頭痛、緊張型頭痛などに代表される。日本の疫学調査では、片頭痛は15歳以上の人口の8.4%、緊張型頭痛は22.3%と報告されており、日本での頭痛人口の多さがうかがえる。しかし、正確な診断や治療を受けている人はあまり多いとは言えず、"ただの頭痛"ということで鎮痛薬のみにて経過観察されてしまうことも少なくない。

慢性頭痛は、その症状に個人差が大きく、必ずしも典型的なものばかりではない。また、1人の患者さんが数種類の頭痛を有することがあっても、患者さん自身はそのことに気がついていないことも多い。それぞれの頭痛の違いを正確に記憶することは容易ではなく、いつも通りとすませていたり、正確に症状を表現できないことも少なくない。このため、患者さんと上手にコミュニケーションを図りながら、頭痛発作時の正確な症状を引き出すことが求められるが、短い日常の一般診療のなかでは困難なのが実情である。

こうした問題を解決するためにはまず、患者さん自身に頭痛に関する知識をもってもらうことが必要である。さらに、問診やアンケートによるretrospectiveな情報だけでなく、「頭痛ダイアリー」を記載してもらうことによりprospectiveな情報を得ることが重要である。これらを併せて、より正確な診断と、それに基づく治療方針の決定が可能となると考えられる。4週間分の記入欄に、患者さんが記載をして持参すると、頭痛の様子が一目で把握でき、またコミュニケーションもとりやすくなる。短時間での的確な診断や、治療効果の評価に活用していただければ幸いである。

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患者さんの安心感と正確な治療のために

頭痛ダイアリーの利用でここが変わる

これまでの診療   頭痛ダイアリー利用後の変化
患者さんの頭痛の記憶があいまい 自分の頭痛の症状に対して患者さんの理解が深まる
医師に的確に症状を伝えられない 医師と患者さんのコミュニケーションがスムーズになる
受診時の様子と 頭痛発作時の状態に格差がある 日常生活での頭痛の様子が詳細に把握できる
短時間の日常診療では限界がある 短時間で確実な診断と治療方針の決定が行える
薬物療法の評価も患者さんの主観に頼る部分が大きい 薬物療法の効果判定がより客観的になる

潜在化している患者さんを治療のルートにのせる

日常診療の流れのなかに、『頭痛ダイアリー』を組み込むことで、これまでは治療の必要性を認められず、就寝や市販薬による対応でがまんせざるを得なかった慢性頭痛の患者さんたちを治療ルートにのせることができます。これにより、患者さんの精神状態の安定と、医療機関への信頼感の醸成が望めます。

診断での活用フロー

頭痛ダイアリーの記載内容が鑑別判断へと導く

『頭痛ダイアリー』の記入方法に従って、患者さんが記載欄に書き込みをしていくと、片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛の鑑別や、他の要因の検討のための情報が、自然に整うように工夫されています。

頭痛症状のチェック

1.いつ起こったか?
記載方法 午前、午後、夜に記載欄を分類
鑑別の目安(一例) 群発頭痛では、1〜2カ月間は毎日ほぼ決まった時間に頭痛が生じる。しばしば睡眠中に起こる。
2.痛みの程度は?
記載方法 +++(重度)、++(中程度)、+(軽度)の3段階で記載
鑑別の目安(一例) 緊張型頭痛は他の慢性頭痛に比べ、痛みの程度は比較的低い。また突然激しい痛みが生じた場合は二次性頭痛も疑われる。
3.どんな痛みか?
記載方法 (脈)=脈打つ痛み、(は)=はき気、(重)=重い痛み、(吐)=嘔吐
鑑別の目安(一例) 片頭痛はズキンズキンと脈打つような痛みが特徴であり、吐き気を伴うこともある。運動や階段の上り下りによって痛みが強くなる。
4.日常生活への影響度は?
記載方法 +++(何も手につかない)、++(能率が通常の半分以下)、+(大きな支障はない)
鑑別の目安(一例) 群発頭痛では何も手につかなくなることが多い。片頭痛でも家事や仕事がつらく、寝こむケースもある。
5.どこが痛いか?
記載方法 MEMO欄に記載
鑑別の目安(一例) 片頭痛では頭の片側ないし両側、緊張型頭痛では頭全体、群発頭痛では一方の目の奥が痛む。
6.どのぐらい続いたか?
記載方法 記載の継続の有無で把握
鑑別の目安(一例) 片頭痛では頭痛が数時間から3日間ほど持続する。群発頭痛の持続時間は1時間ほど。

頭痛以外の症状のチェック

1.頭痛の前ぶれは?
記載方法 MEMO欄に記載
鑑別の目安(一例) 片頭痛では、チカチカとしたまぶしい光や、ギサギザ模様の線が視界に現れる人もいる。
2.誘因と思えることは?
記載方法 MEMO欄に記載
鑑別の目安(一例) 片頭痛ではストレスからの解放、月経、天候の変化などが誘因。群発頭痛では飲酒が引き金になることも少なくない。

頭痛ダイアリーの記載例

Case Study 1
片頭痛

1週間に1回の頻度で、悪心や嘔吐などを伴った拍動性の頭痛を認める。ストレスから解放された週末に出現することが多い。

記載例

Case Study 2
片頭痛+反復性緊張型頭痛

自覚的には強い頭痛のことのみ認識していたが、日記を記載することにより、2種類の頭痛の判別が可能となった。

記載例

Case Study 3
緊張型頭痛

肩こりを伴った、後頭部あるいは頭部全体の頭重感や鈍痛が頻回に認められる。締めつけ感も相当強い。悪心や嘔吐などの随伴症状は認められないか、あっても軽度である。

記載例

Case Study 4
群発頭痛

30分〜3時間程度の短時間の持続で、激しい頭痛が1日に何回も出現する。日中にも認められるが明け方に多い。鼻汁、結膜充血、流涙などの随伴症状を伴う。症状が重度のときでも酸素吸入が有効だった。群発の期間は1〜2ヵ月間で、1〜2年おきに起こる場合もある。

記載例



頭痛ダイアリーの効果〜より正確な診断の一助に〜

北里大学病院神経内科外来において慢性頭痛と診断された患者さん218名を対象に、初診時に問診だけから得られた診断と、再診時に『頭痛ダイアリー』を用いて再度検討し直した診断とを比較検討しました。その結果、患者さんの訴えのみからは片頭痛と診断されていた患者さんの28%に、反復性緊張型頭痛の混在が認められました。

また、慢性緊張型頭痛と診断された患者さんのうち、27%において片頭痛が混在していることもわかりました。

このように2種類以上の頭痛が混在している場合は、患者さん自身がそのことに気付いていない場合も多く、『頭痛ダイアリー』から得られる情報は、頭痛のより正確な診断の一助となることは明らかです。

問診による診断と日記による診断の比較(N=218)

日記による診断→ 片頭痛 反復性
緊張型頭痛
慢性
緊張型頭痛
片頭痛
+
反復性緊張型頭痛
片頭痛
+
慢性緊張型頭痛
群発頭痛 分類不能
問診による診断↓
片頭痛 46 30 1 0 13 0 0 2
反復性
緊張型頭痛
58 0 50 3 5 0 0 0
慢性
緊張型頭痛
26 0 0 14 0 7 0 5
片頭痛
+反復性緊張型頭痛
14 2 0 0 12 0 0 0
片頭痛
+慢性緊張型頭痛
19 0 0 5 0 9 0 5
群発頭痛 10 0 0 0 0 0 10 0
分類不能 45 4 1 10 3 12 0 15
合計 218 36 52 32 33 28 10 27

土橋かおりら:Prog. med, 21, 34(2001)一部改変



頭痛チェックシートをご活用ください

患者さんに『頭痛ダイアリー』への記載をお願いするにあたり、慢性頭痛に対する患者さんの認識が高ければ、記載に意欲がもてますし、また記載内容も的確になります。