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適正にご使用いただくためのガイドブック
(切除不能な胸腺癌)

「警告・禁忌を含む使用上の注意」等については、電子添文をご参照ください。
臨床成績

国内第Ⅱ相試験(NCCH1508試験,REMORA)

社内資料(承認時評価資料):切除不能又は再発胸腺癌を対象とした臨床第Ⅱ相試験(国内 NCCH1508試験) [LEN-0470]
Sato J, et al. Lancet Oncol 2020; 21(6): 843-850[LEN-0402]
著者にエーザイ株式会社よりコンサルタント料等を受領している者が含まれる。

(1)試験概要

目的
プラチナ製剤を含む化学(放射線)療法の治療歴を有する切除不能又は再発胸腺癌患者を対象にレンバチニブの有効性及び安全性を評価すること。
試験デザイン
多施設共同単一群非盲検非対照試験

対象
プラチナ製剤を含む化学(放射線)療法の治療歴を有する切除不能又は再発胸腺癌患者42例
(主な選択基準)
  • 切除不能又は再発胸腺癌
    • 初発胸腺癌で正岡-古賀分類Ⅲa又はⅢb、かつ根治切除不能と判断された患者
    • 初発胸腺癌で正岡-古賀分類Ⅳa又はⅣbと診断された患者
    • 胸腺癌の術後再発患者
  • 年齢20歳以上
  • ECOG PS 0-1
  • 測定可能病変を1つ以上有する(RECIST v1.1)
  • VEGFRを標的とした薬物療法の治療歴がない
  • 症候性脳転移、癌性髄膜炎、放射線治療/手術を必要とする脊椎転移を有さない
  • 治療を必要とする心嚢液貯留、胸水貯留、腹水貯留がない

(主な除外基準)

  • 活動性の重複癌を有する(同時性重複癌/多発癌および無病期間が5年以内の異時性重複癌/多発癌)
  • 全身的治療を必要とする感染症を有する(HCV抗体陽性でHCV-RNA定量検査も陽性の場合は登録不可)
  • 活動性喀血(小さじ1/2以上の鮮血)が登録前21日以内に認められた
  • 肺臓炎もしくは肺線維症の合併又は既往歴を有する
    ※放射線治療に伴う非活動性の瘢痕又は線維化であれば登録可
  • 登録前6ヵ月以内に血栓性/心血管系イベントを有する
  • 1g/日以上の蛋白尿を有する
方法
  • 28日間を1サイクルとして、レンバチニブ24mgを1日1回経口投与した。
  • 病勢進行、忍容できない毒性発現、同意撤回又は臨床的な有益性がなくなるまで治験薬の投与を継続した。
  • 腫瘍評価は、RECIST v1.1に基づき、投与開始後4週、8週、16週、24週時点で行い、以降は12週毎に行った。
評価項目

有効性評価項目

主要評価項目:
中央判定による奏効率(検証的解析項目)
副次評価項目:
主治医判定による奏効率、主治医判定による無増悪生存期間(PFS)中央値 /
6、12、 18ヵ月時点の無増悪生存率、全生存期間(OS)中央値/6、12、18ヵ月時点の全生存率、中央判定による病勢コントロール率(DCR)

その他の評価項目:
中央判定による標的病変径和のベースラインからの最大変化率及び変化率の推移

安全性評価項目

有害事象、副作用、Grade3以上の有害事象及び副作用、死亡及びその他の重篤な有害事象など

解析計画
有効性解析は、選択基準を満たした42例を対象に実施した。主要評価項目の中央判定による奏効率は、90%信頼区間の下限が事前に設定した閾値奏効率10%を上回る場合、臨床的に意義のある抗腫瘍効果を示すとし、さらにその他の副次評価項目の結果を考慮した上で有効性を判断することとした。安全性解析は、治験薬が少なくとも1回投与された42例を安全性解析対象集団とし、評価項目についてそれぞれ要約統計量を算出した。また、その他の解析として、全適格例を対象として、各被験者の標的病変径和のベースラインから最小値への変化率を大きい順にソートして棒グラフ (Waterfall plot)とともに、標的病変径和の変化率の推移(Spider plot)を示した。すべての評価項目において、年齢(65歳以上又は 65歳未満)及び体重(58kg以上又は58kg未満)別のサブグループ解析を行うことが事前に規定されていた。

(2)有効性

中央判定による奏効率(主要評価項目:検証的解析項目)、主治医判定による奏効率/
中央判定による病勢コントロール率(副次評価項目)、標的病変径和のベースラインからの最大変化率
(その他の評価項目)

RECIST v1.1に基づく中央判定による奏効率は38.1%(16/42例、90%信頼区間:25.6~52.0)であり、90%信頼区間の下限が事前に設定した閾値奏効率10%を上回り、本剤は臨床的意義のある抗腫瘍効果を示しました(帰無仮説に対して二項検定により有意差あり、p<0.0001)。最良総合効果は、42例のうちPRが16例、SDが24例でした。また、主治医判定による奏効率は38.1%(16/42例、95%信頼区間:23.6~54.4)、中央判定による病勢コントロール率(DCR)は95.2%でした。

中央判定による奏効率、主治医判定による奏効率**、中央判定による病勢コントロール率**(RECIST v1.1)

中央判定による奏効率*、主治医判定による奏効率**、中央判定による病勢コントロール率**(RECIST v1.1)

*:主要評価項目(検証的解析項目)、**:副次評価項目

中央判定による標的病変径和のベースラインからの最大変化率(最小値)のWaterfall plot***

***:その他の評価項目

主治医判定による無増悪生存期間(PFS)(副次評価項目)

主治医判定によるPFSの中央値(95%信頼区間)は9.3ヵ月(7.7~13.9)でした。6ヵ月、12ヵ月及び18ヵ月における無増悪生存率(95%信頼区間)は、それぞれ78.6% (62.9~88.2)、40.5%(25.8~54.7)及び31.7%(18.0~46.3)でした。

主治医判定による無増悪生存期間

主治医判定による無増悪生存期間

例数(%)

主治医判定による無増悪生存期間のKaplan-Meier plot

全生存期間(OS)(副次評価項目)

全生存期間の中央値(95%信頼区間)はデータカットオフ時点(2019年2月22日)で未達(16.1~推定不能)でした。6ヵ月、12ヵ月及び18ヵ月における全生存率(95%信頼区間)は、それぞれ95.2%(82.3~98.8)、83.3%(68.2~91.7)及び60.2%(40.0~75.5)でした。

全生存期間のKaplan-Meier plot

中央判定による標的病変径和のベースラインからの変化率の推移(その他の評価項目)

中央判定による標的病変径和のベースラインからの変化率の推移は以下のとおりでした。

中央判定による標的病変径和のベースラインからの変化率の推移(その他の評価項目)

(3)安全性

副作用

本剤が投与された42例において、全例で副作用が認められました。

主な副作用は、高血圧37例(88.1%)、蛋白尿30例(71.4%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群29例(69.0%)、甲状腺機能低下症27例(64.3%)、血小板数減少22例(52.4%)、下痢 21例(50.0%)、食欲減退18例(35.7%)、発声障害、倦怠感及び口内炎各14例(各33.3%)でした。

主な副作用(発現率10%以上)

主な副作用(発現率10%以上)

例数(%)

*本試験では、グレード5の有害事象をグレード4として収集していました(死亡は転帰として報告されるため)。
また、グレード4の有害事象の発現はありませんでした。

減量、休薬又は中止に至った有害事象

治験薬の投与中止に至った有害事象が9.5%、減量に至った有害事象*1が100%、休薬に至った有害事象*2が31.0%に認められました。

初回の減量に至った期間の中央値は4.1週であり、最初に減量したサイクル数及び最初に休薬したサイクル数は以下のとおりでした。

*1 本試験の減量基準に則り、減量前には休薬を行っています。

*2 休薬後、減量せずに投与再開した有害事象を指します。(減量基準は本剤との因果関係ありの有害事象に対してのみ適用することとなっていました)

最初に減量したサイクル数毎の割合(安全性解析対象集団)
最初に休薬したサイクル数毎の割合(安全性解析対象集団)

また、減量の回数は以下のとおりでした。

レンバチニブ投与群における減量回数(安全性解析対象集団)

レンバチニブ投与群における減量回数(安全性解析対象集団)

例数(%)

中止、減量、休薬に至った有害事象は下表のとおりでした。

中止に至った有害事象

中止に至った有害事象

例数(%)

減量に至った有害事象*1(2例以上)

減量に至った有害事象*1(2例以上)

例数(%)

各項目において、同一症例に2件以上発現した場合は、1例として集計
*1本試験の減量基準に則り、減量前には休薬を行っています。

休薬に至った有害事象*2

休薬に至った有害事象*2

例数(%)

各項目において、同一症例に2件以上発現した場合は、1例として集計
*2休薬後、減量せずに投与再開した有害事象を指します。(減量基準は本剤との因果関係ありの有害事象に対してのみ適用することとなっていました)