特に注意いただきたい副作用
手足症候群
- 観察を十分に行い、異常が認められた場合には、症状に応じて対症療法、本剤の減量、休薬又は中止等の適切な処置を行ってください。
- 手足症候群は高頻度で報告されています。国内第Ⅱ相試験(NCCH1508試験, REMORA)では、手足症候群による本剤の投与中止は認められませんでしたが、11/42例(26.2%)で本剤の減量が報告されています。
- 手足症候群の発症及び重症化を避けるために、本剤投与前に適切な予防処置を行ってください(予防方法については、「こちら」を参照)。
- 手や足の刺激を受けやすい部分に生じやすいことが知られています。物理的刺激等が生じやすい部分を確認し、長時間又は反復して同じ部分に刺激がかからないように患者に指導してください。
■副作用の発現状況
国内第Ⅱ相試験(NCCH1508試験, REMORA)における手足症候群関連の副作用の発現状況は下表のとおりです。
国内第Ⅱ相試験(NCCH1508試験, REMORA)における手足症候群関連の副作用
例数(%)
*本試験では、グレード5の有害事象をグレード4として収集していました(死亡は転帰として報告されるため)。
また、グレード4の有害事象の発現はありませんでした。
■副作用の発現時期
国内第Ⅱ相試験(NCCH1508試験, REMORA)における手足症候群事象の初発までの期間[中央値(最小値,最大値)]は25日(4日, 169日)でした。
■手足症候群の対策
- 本剤投与開始前又は投与開始日に予防処置を行ってください。
- 保湿を目的とし、尿素軟膏、ヘパリン類似物質含有軟膏、ビタミンA含有軟膏等で予防処置を検討する
- 治療前に爪の手入れ、角質肥厚部を処置する
■手足症候群の予防方法の指導
- 物理的刺激を避ける
- 締めつけの強い靴下や足に合わない靴等は避ける
- 雑巾しぼりのような、手に摩擦がかかることは控える
- 洗剤類が直接肌に触れないよう、炊事等、水仕事の際にはゴム手袋等を使用する
- 熱刺激を避ける
- 皮膚を保護する
- 手足には、保湿剤を使用する
- 靴下は木綿の厚手のもの、靴は中敷きが柔らかく足に合ったものを選ぶ
- 二次感染を予防する
- 直射日光を避ける
- 外出時には、日傘や帽子、手袋を使用する
- 肌が露出する場合は、日焼け止めを使用する
厚生労働省 重篤副作用疾患別対応マニュアル「手足症候群」
■手足症候群の症状及び治療法
- 好発部位と初期症状
- 手足症候群は、手や足で繰り返し物理的刺激が加わる場所に好発します。
- 初期症状として、手足の感覚の異常や発赤がみられます。症状は通常、左右両側に現れます。
- 特に、キナーゼ阻害薬では、初期症状として限局性の紅斑が認められ、通常、疼痛を伴います。
- 手掌や足底にしびれ、皮膚知覚過敏、ヒリヒリ・チクチクといった感覚異常、無痛性腫脹、無痛性紅斑、色素沈着が初発症状としてみられます。
- 進行すると、疼痛を伴う浮腫・腫脹・発赤、過角化による皮膚の肥厚、水疱、亀裂、潰瘍、びらん、落屑等が生じ、歩行困難や把握困難等の機能障害が生じます。
- 治療法
- 保湿を目的とした尿素軟膏、ヘパリン類似物質含有軟膏、ビタミンA含有軟膏、白色ワセリン等の外用剤を使用し、物理的刺激を避けるような処置を行います。
- 腫脹が強い場合は、四肢の挙上と手足の冷却が有効であるといわれています。
- びらん・潰瘍化した場合は、病変部を水道水等で洗浄し、白色ワセリンやアズレン含有軟膏等で保護してください。
- 病変部に二次感染を伴う場合は、内服及び外用の抗生物質の投与を考慮します。
厚生労働省 重篤副作用疾患別対応マニュアル「手足症候群」
- 症状に応じてジフルプレドナートなどのステロイド外用剤の使用を考慮し、重症例では専門医に相談してください。
- 忍容できないGrade2*又はGrade3が認められた場合は、本剤を休薬し、症状が軽快後、1段階減量して本剤投与を再開してください。
*Grade3には該当しないが、医師・患者が減量・休薬を必要と判断した場合
薬剤の使用にあたっては、各薬剤の電子添文をご参照ください。