Medical.eisai.jp 医療関係者の皆様へ Medical.eisai.jp 医療関係者の皆様へ

メニュー メニュー
検索
  1. TOP
  2. 製品情報
  3. マクサルト
  4. 頭痛の基礎知識
  5. 片頭痛の治療
ここからメインコンテンツ
ここからメインコンテンツ

片頭痛の治療

片頭痛治療にはどのようなものがあるか

片頭痛の治療では、医師や薬剤師などの医療従事者と患者さんの二人三脚で、患者さんの生活の質(QOL)の向上を目指すことが重要です。また、片頭痛患者の症状は多様で、ふさわしい治療方法もさまざまであることから患者さん一人ひとりの症状に合わせたオーダーメード治療の構築が求められています。

医師のリードによる丁寧な問診、正確な診断がなされた後、適切な薬剤を選択します。片頭痛の状態を患者さんと医療従事者の双方が理解し、さらに有益な情報を得るために、頭痛ダイアリーなどを使って詳しく診ていきます。情報の共有を行うことで患者さんにも服薬のタイミングや誘発因子の排除をしっかり理解してもらえるようになります。お互いの協力体制を確立するためにも、医療従事者は、患者さんが頭痛治療に対する意識を高く持つよう指導していく必要があります。

薬物療法

急性期治療 1)

片頭痛急性期治療薬には、一般的には

  1. アセトアミノフェン
  2. 非ステロイド系抗炎症薬 (NSAIDs)
  3. エルゴタミン製剤
  4. トリプタン製剤
  5. 制吐薬

があり、片頭痛の重症度に応じて治療薬を選択することが求められます。

軽度~中等度の頭痛にはアスピリン、ナプロキセンなどの NSAIDs 、中等度~重度の頭痛、または軽度~中等度の頭痛でも、過去に NSAIDs の効果がなかった場合には、トリプタン製剤が推奨されます。

いずれの場合も、制吐薬の併用は有用です。

エルゴタミン+カフェインの経口薬は、発作回数が少なく発作早期使用で満足な効果が得られている患者さんや、トリプタン製剤で頭痛の再燃が多い患者さんでは使用されることがあります。

また、急性期治療薬は3ヵ月を超えて連日のように服用すると薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)をきたす可能性があるので、注意が必要です。

予防療法 2)

片頭痛発作が月に2回以上ある患者さんには、予防療法を検討することが勧められます。急性期治療のみでは片頭痛による日常生活の支障が残る場合、急性期治療薬が使用できない場合、永続的な神経障害をきたすおそれのある特殊な片頭痛の場合には、予防療法を行うよう勧められます。

予防薬には、次のような薬剤が使用されます。

  • β遮断薬(プロプラノロールなど)
    高血圧や冠動脈疾患、頻拍性不整脈などの合併症をもつ片頭痛患者に特に勧められます。逆に心不全や喘息、抑うつ状態の場合は使用を避けます(推奨グレードA)。日本ではリザトリプタンとの併用は禁忌のため注意が必要です。
  • カルシウム拮抗薬(ロメリジン、ワソランなど)
    降圧薬として広く使用されている薬剤群で、片頭痛予防薬として以前より使用されています。ロメリジンは月に2回以上の発作がある片頭痛患者に10mg/日、経口投与すると、8週間後には64%の患者さんに片頭痛発作の頻度、程度の軽減が期待できます(推奨グレードB、※ロメリジンは保険適用可、ワソランは保険による適用外使用が認められている)。
  • アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンギオテンシンII受容体遮断薬(ARB)
    高血圧の治療のためにACE阻害薬を服用した患者に、片頭痛の頻度や程度の軽減が認められています(推奨グレードB、※保険適用外)
  • 抗てんかん薬(バルプロ酸ナトリウム、トピラマートなど)
    月に2回以上の頭痛発作がある片頭痛患者に、バルプロ酸ナトリウム1000mgを経口投与すると、8週後には片頭痛発作を平均4.4回/月から平均3.2回/月に減少することが期待されます(推奨グレードA、※バルプロ酸ナトリウムは保険適用可、トピラマートは保険適用外)。
  • 抗うつ薬(アミトリプチリン)
    抗うつ薬は、片頭痛に関係の深いセロトニンの代謝を改善するため、片頭痛の予防に有用です。とくに緊張型頭痛を合併している片頭痛に高い有効率が示されています。三環系抗うつ薬であるアミトリプチリンはエビデンスも十分にあり、広く使用されています(推奨グレードA、※保険適用外)。

予防療法の効果判定には少なくとも2ヵ月を要します。有害事象がなければ3~6ヵ月は予防療法を継続し、片頭痛のコントロールが良好になれば予防療法薬を緩徐に漸減し、可能であれば中止することが勧めらます。

非薬物療法

非薬物療法は、(1)薬物療法以外の治療を希望、(2)薬物治療に耐えられない、(3)薬物療法に禁忌がある、(4)薬物治療に反応しない、(5)妊娠または妊娠の可能性がある、(6)薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)の既往がある、(7)明らかなストレス下にある場合、等にあてはまる患者さんに推奨されます。

薬物療法以外の一次性頭痛の治療法には、以下のようなものがあります。3)

行動療法:緩和訓練、バイオフィードバック、認知行動療法、催眠療法

理学療法:鍼、経皮的電気刺激など

サプリメント:ナツシロギク(フィーバーフュー)、マグネシウム、ビタミンB2

誘発因子の検索と除去

片頭痛の誘発因子は、精神的因子(ストレス、精神的緊張、疲れ、睡眠)、内因性因子(月経周期)、環境因子(天候の変化、温度差、頻回の旅行、臭い)、食事性因子(空腹、アルコールなど)があります。片頭痛患者の中には、特定の状況下で発作が起こりやすいことを認識している人も多く、そのような誘発因子を除去することは、片頭痛の予防につながります。 4)

患者教育・頭痛の記録

片頭痛は、医師や薬剤師と患者さんの二人三脚で生活の質(QOL)の向上を目指します。患者さんが医師の指示を理解し、積極的に治療に参加するためには、以下のようなことを理解してもらう必要があります。

  • 片頭痛に対する知識
  • 片頭痛と他の頭痛の鑑別
  • 治療薬の効果と副作用
  • 急性期治療薬の適正使用(服薬タイミング,使用量,使用頻度)
  • 予防療法の必要性,効果発現までに要する期間
  • 発作中の注意(静かな暗い場所で休む,痛む部位を冷やすなど)
  • 妊娠の有無の確認

効率的な頭痛診療を行うためには、医師と患者さんの良好な関係が Key となります。医師は正確な診断名を患者さんに告げ、さらに頭痛に対する適切な対処法・治療法を患者さんに説明する必要があります。

また、頭痛の症状は自覚的なものであり、医師へ正しく伝えることが難しく、頭痛の診断や治療の評価が困難なことがありますが、頭痛ダイアリーを使用することによって、症状の把握や正しい診断に結びつきます。

頭痛ダイアリーからは、(1)頭痛の頻度、(2)頭痛の性状、(3)痛みの強度、(4)持続時間、(5)随伴症状、(6)頭痛出現から内服までの時間、(7)薬物の治療効果、(8)誘因、(9)生活支障度、などを具体的に知ることができます。また、そのことにより患者さんと医師間のコミュニケーションを向上することができます。

問診のみでは頭痛の強度や随伴症状の正確な把握は困難なことが多いのですが、頭痛ダイアリーから正確な情報を得ることにより、問診では診断がつかなかった症例の診断が可能となる、患者さんが自己の頭痛をよりよく把握できる、頭痛のタイプに応じた服薬や内服のタイミングが改善される、などの利点も報告されています。

重度片頭痛発作・重責の治療

片頭痛発作重積は、「前兆のない片頭痛」を持つ患者さんに、重度の頭痛が 72 時間を越えて続くものです。患者さんは救急外来を受診することが多く、強い頭痛と嘔吐のため、病歴の聴取が困難な場合が多いのが特徴です。初診時にはまず、二次性頭痛の検索を行い、全身状態を確認した上で治療を開始します。5)

  1. 二次性頭痛の除外
  2. 補液(静脈ルート確保):嘔吐による脱水の改善と、治療薬による低血圧などの副作用に備える
  3. スマトリプタン 3mg 皮下注: 24 時間以内の総投与量と頭痛再燃に注意する
  4. 制吐薬の静注または筋注:メトクロプラミド(10mg) または プロクロルペラジン(5mg) (※保険適用外)
  5. デキサメタゾン(静注)(※保険適用外)

参考文献

1)
日本頭痛学会:P114-117 , II. 片頭痛 II-2-1 片頭痛の急性期治療には,どのような方法があり,どのように使用するか , 慢性頭痛の診療ガイドライン2013 , 医学書院 , 2013.
2)
日本頭痛学会:P145-182 , II. 片頭痛 3. 予防療法 , 慢性頭痛の診療ガイドライン2013 , 医学書院 , 2013.
3)
日本頭痛学会:P45-46 , I. 頭痛一般 I-16 薬物療法以外にどのような治療法があるか , 慢性頭痛の診療ガイドライン2013 , 医学書院 , 2013.
4)
日本頭痛学会:P97-99 , II. 片頭痛 II-1-5 片頭痛の誘発因子としてどんなものがあるか , 慢性頭痛の診療ガイドライン2013 , 医学書院 , 2013.
5)
日本頭痛学会:P136-138 , II. 片頭痛 II-2-10 片頭痛重症発作,発作重積の急性期治療はどのように行なうか , 慢性頭痛の診療ガイドライン2013 , 医学書院 , 2013.