「ブイエスラド アドバンス」の関心領域(VOI:Volume Of Interest)
関心領域①:内側側頭部の関心領域

ADの脳萎縮評価支援の参考にする関心領域です。
内側側頭部(海馬・扁桃・嗅内野の大部分)に設定されています。

※「ブイエスラド プラス」では『扁桃を含む両側海馬傍回付近』を関心領域として着目していましたが、「ブイエスラド アドバンス」では『海馬・扁桃・嗅内野の大部分』が含まれるようになりました。

関心領域(内側側頭部)の設定について
「ブイエスラド アドバンス」に組み込まれている関心領域は、健常群80例、アルツハイマー型認知症群61例について、SPMを用いたグループ解析を行い、アルツハイマー型認知症群で有意(T=7.0)に萎縮している部位を求めました。その結果、この部位は海馬・扁桃・嗅内野の大部分を含む領域に位置することがわかりました。
アルツハイマー型認知症で(T=7.0)に萎縮がみられる部位:海馬、扁桃、嗅内野の大部分
アルツハイマー型認知症で(T=6.5)に萎縮がみられる部位:扁桃を含む両側海馬傍回付近
【解析対象】
AD群: 国立精神・神経センター武蔵病院(現国立精神・神経医療研究センター病院)「もの忘れ外来」を受診し、2~6年間の経過観察にて、NINCDS-ADRDAで臨床的にprobable ADと診断された男性32名、女性29名、年齢48歳~87歳(70.6±8.4)、初診時のMMSEスコア26.0±1.6。
健常群: 男性40名、女性40名、年齢54歳~86歳(70.2±7.3)、MMSE:正常(28.7±1.5)、HDS-R:正常、Wechsler Memory Scale-Revised(WMS-R):正常、Wechsler Adult Intelligence Scale-Revised(WAIS-R):正常、年齢相応の白質の高信号がT2強調像でみられるのみ、糖尿病などの脳血管障害の危険因子がない。
VOIとは?
Volume of Interestの略で、「ブイエスラド」ではROI(Region of Interest)と同義で使用しています。
ROIの中でもとくに3次元的な広がりがあることを強調した表現として「VOI」を使用しています。
関心領域②:背側脳幹の関心領域
ADとDLBの脳萎縮評価支援の参考とするために追加した関心領域です。
背側脳幹に設定されています。
関心領域(背側脳幹)の設定について
DLB群30例について、解剖学的アトラスの中脳(midbrain)および橋(pons)において、DLB群で特異的に白質萎縮がみられた部位(全脳白質萎縮割合と有意な負の相関がある部位)を求めました。
その結果、この部位は脳幹の背側部に位置することがわかりました。
【解析対象】
DLB群: DLB臨床診断基準改訂版(2005)でpossible または probable DLB と診断された男性32名、女性28名、年齢77.3±5.8、MMSE 20.8±4.1 のうち無作為に選択された30例。(T2強調像にて無症候性脳梗塞がみられない。)