Q&A
各バージョンの特徴
各バージョンの特徴(ブイエスラド アドバンス)
Q1

アドバンスはプラスと何が違うのでしょうか?

-A1-「ブイエスラド」に組み込んでいる脳画像解析プログラム「SPM」のバージョンが異なるので、解析結果も異なります。アドバンスがプラスのアップデートバージョンであり、解析結果指標、関心領域なども追加され、画像解析精度も向上しています。

さらに、次の2つの機能も追加しています。
・追加指標「VOI間萎縮比(背側脳幹/内側側頭部)」の搭載 → 内側側頭部を基準として、背側脳幹がどれだけ萎縮しているか確認できます。
・データ検索・書き出し機能 → すでにアドバンス(従来版のadvance、advance 2 を含む)で処理した結果を、被検者名・患者IDをもとに検索・CSV出力できます。
Q2

なぜプラスから精度が向上したのですか?

-A2-「ブイエスラド」に移植している解析アルゴリズムをSPM2からSPM8ベースにバージョンアップしたことで、組織分割および解剖学的標準化の精度が大幅に向上しているからです。とくに解剖学的標準化はDARTELと呼ばれる新しい手法を用いています。
Q3

アドバンスを導入するとどのようなメリットがあるのでしょうか?

-A3-プラスと比較し、灰白質抽出精度が向上し、解析に失敗するケースがプラスよりも減少しており、アドバンスをお使いいただくことが推奨されています。
Q4

内側側頭部の関心領域の大きさや場所はこれまで通りなのでしょうか?

-A4-アドバンスとプラスでは内側側頭部の関心領域の大きさ・場所は異なります。これは、アドバンスにおける内側側頭部の関心領域作成の際、アドバンスのアルゴリズムで再度ADと健常者で統計解析を行ったためです。
Q5

なぜプラスとアドバンスで内側側頭部の関心領域が異なるのでしょうか?

-A5-アドバンスのアルゴリズムを用いて、再度アルツハイマー型認知症と健常者で統計解析を行ったためです。
Q6

アドバンスではプラスよりも関心領域が大きくなっているのですが、精度が下がるのではないでしょうか?

-A6-とくに解析精度が下がるといった報告はありません。なお、アドバンスの関心領域は、プラスで設定した際よりも厳しい条件で設定されています。
Q7

アドバンスでは関心領域が増えたということでしょうか?

-A7-その通りです。背側脳幹の関心領域が追加になりました。
Q8

背側脳幹の関心領域は、灰白質と白質のどちらに追加されたのでしょうか?

-A8-灰白質、白質の両方に追加されました。
Q9

背側脳幹の関心領域を設定した手法が、これまで(内側側頭部)と異なるのはなぜでしょうか?

-A9-先行研究報告で有用性が確認されている関心領域を設定したためです。
Q10

関心領域は動かせるようになりましたか?

-A10-動かせません。医療機器承認が得られた関心領域のみ設定しております。
Q11

SPM8とDARTELは何が違うのでしょうか?

-A11-SPM8はロンドン大学が開発した画像解析ソフトウェアSPMの最新版(2011/12/1現在)です。DARTEL は SPM8から実装されている解剖学的標準化の名称で、従来の解剖学的標準化よりも合わせこみの精度が大幅に向上しています。
Q12

解剖学的標準化とはどのような処理なのでしょうか?

-A12-「ブイエスラド」に搭載されている標準脳への合わせこみ処理です。
Q13

対照画像を作成したデータはプラスから変わったのでしょうか?

-A13-プラスと変更ありません。
Q14

アドバンスとプラスで内側側頭部のVOI内萎縮度が異なるのですが、なぜでしょうか?

-A14-搭載しているプログラムが異なるためです。具体的には、解剖学的標準化の精度が向上し、シルビウス裂の萎縮の合わせこみが厳密になったこと、関心領域変更に伴い海馬後方部分の萎縮も含まれることなどの相違点があり、その結果、値が異なっております。
Q15

絶対評価とは何でしょうか?

-A15-「ブイエスラド」では、通常、健常者・被検者とも脳全体の灰白質密度を同一とする補正をしたうえで比較しています(相対評価)。これに対し、灰白質密度の補正を行わずに比較する方法を絶対評価と言います。
Q16

追加指標「VOI間萎縮比(背側脳幹/内側側頭部)」で何がわかるのでしょうか?

-A16-脳MR画像の情報から、内側側頭部を基準として背側脳幹がどれだけ萎縮しているか確認できます。内側側頭部の萎縮が軽度であり、かつ、認知症、とくにADまたはDLBが疑わしい場合にご使用いただくことを想定しております。健常者では使用できませんので、ご注意ください。
Q17

「VOI間萎縮比(背側脳幹/内側側頭部)」で、ADとDLBの鑑別ができるということでしょうか。

-A17-「ブイエスラド」はあくまで脳萎縮を評価するプログラムなので、「ブイエスラド」の結果のみで「鑑別ができる」とはいえません。精密検査を実施する前段階で、ADとDLBの鑑別を考慮するか否かを検討する際の参考情報です。
Q18

「VOI間萎縮比(背側脳幹/内側側頭部)」のADとDLBの正診率はどの程度なのでしょうか?

-A18-「ブイエスラド」は、あくまで脳萎縮を評価するプログラムであり、本プログラムのみでADとDLBの鑑別はできかねます。
なお、「VOI間萎縮比」についての研究報告がされているようですので、ご参考までにご案内いたします。

Matsuda H,et al:Neuropsychiatric Disease and Treatment 2019:15 2715-2722(2019)

Q19

「VOI間萎縮比(背側脳幹/内側側頭部)」は、DLBと健常者の鑑別はできないのでしょうか?

-A19-できません。健常者は、VOI内萎縮度(内側側頭部)が非常に軽度となる傾向があることから、VOI間萎縮比(背側脳幹/内側側頭部)は相対的に高値となる傾向があります。
Q20

背側脳幹のVOI内萎縮度だけで、健常者とDLBを識別できるのではないでしょうか?

-A20-できません。背側脳幹の萎縮度合は、軽度なものと高度なものの差が僅かであること、健常者での背側脳幹のVOI内萎縮度が高めに出るケースがあることから、健常者でのご使用は推奨できません。
Q21

背側脳幹のVOI内萎縮度だけでは、ADとDLBを鑑別するための参考指標にならないのでしょうか?

-A21-参考指標にならないと考えます。DLBはADと比較して、背側脳幹の萎縮度合がやや高度であること、内側側頭部の萎縮がやや軽度であることが考えられますが、何れも差は大きくないため、この両方を鑑みる必要性があると考えます。
Q22

ADとDLBの萎縮の特徴に違いがあるということでしょうか?

-A22-ADとDLBの萎縮の特徴に違いがあります。先行研究において、DLBはADと比較して、背側脳幹の萎縮度合がやや高度であること、内側側頭部の萎縮がやや軽度であることが報告されています。
Q23

従来のVOI内萎縮度(内側側頭部)だけではADとDLBの鑑別の参考にならないのでしょうか?

-A23-先行研究において、参考になるという報告もありますが、内側側頭部VOI内萎縮度単独でのADとDLBの鑑別診断支援を行っていただくことは推奨しておりません。
Q24

DLBで背側脳幹が萎縮するということは典型的でないと思うのですが、根拠はあるのでしょうか?

-A24-病理学的にDLB特徴が目立つ症例において、中脳背側の容積低下が認められたという報告があります。

Kantarci K, et al. Neurology 2012;79:553-560.

Q25

VOI間萎縮比は、VOI内萎縮度(内側側頭部)が2以上の場合は、使えないのでしょうか?

-A25-推奨はしていません。
Q26

背側脳幹は、PSPの方がDLBより萎縮すると思うのですが、PSPでは使えないでしょうか?

-A26-PSPでは評価を実施していないため、判断しかねます。
Q27

「VOI間萎縮比(背側脳幹/内側側頭部)」は、どのような場合に使用すべきでしょうか?

-A27-臨床症状や心理学的検査などにより、認知症、とくにADやDLBが疑われるものの、内側側頭部の萎縮が軽度(VOI内萎縮度:2未満)な場合にご検討ください。
Q28

「VOI間萎縮比(背側脳幹/内側側頭部)」が高いと判断する目安を教えてください。

-A28-原著論文では、VOI内萎縮度が2未満かつVOI間萎縮比が0.2以上のときにDLBとADの識別精度が高いと報告されています。ただ、「VOI間萎縮比」を高いと判断可能となる明確な目安のご案内はいたしかねます。
Q29

灰白質と白質を両方みる必要があるのでしょうか?

-A29-両方みる必要があります。
Q30

なぜ、VOI間萎縮比の結果は灰白質と白質を両方みる必要があるのでしょうか?

-A30-背側脳幹は灰白質と白質が混在した組織であるためです。
Q31

「VOI間萎縮比(背側脳幹/内側側頭部)」が高いと判断する目安は、0.2だったと思うのですが、なぜなくなってしまったのでしょうか?

-A31-「VOI間萎縮比」で内側側頭部の萎縮に対して背側脳幹の萎縮が目立つかどうかの参考目安値「0.2」については、VSRAD advance 2 リリース後にご施設様ごとに目安が異なってくるといったお問い合わせも多くいただいておりましたので、削除いたしました。ご施設様ごとに傾向をみていただくことを推奨いたします。なお、0.2の根拠につきましては、下記論文をご参考ください。

Matsuda H,et al:Neuropsychiatric Disease and Treatment 2019:15 2715-2722(2019)

Q32

「VOI間萎縮比(背側脳幹/内側側頭部)」が 1を超えたら、背側脳幹の方が萎縮が目立つということでしょうか?

-A32-数字だけみると、その解釈となります。ただ、内側側頭部の萎縮度合と比較し、背側脳幹の萎縮度合いは目立ちにくいため、1よりも小さい値でも、背側脳幹の萎縮の方が目立つととらえられることもあります。詳しくは、下記論文をご参考ください。

Matsuda H,et al:Neuropsychiatric Disease and Treatment 2019:15 2715-2722(2019)