- Q1
VSRADは、何の略ですか?
- -A1-Voxel-Based Specific Regional Analysis System for Atrophy Detectionの略です。すなわち、ボクセル毎に特定領域を解析し、萎縮評価を支援するシステムという意味です。
※以前は、Voxel-Based Specific Regional Analysis System for Alzheimer's
Diseaseの略としていましたが、より萎縮評価に特化した表現として、変更しております。
- Q2
「ブイエスラド」は「ブイエスラド」リリース前の画像ソフトと比べて何が違うのですか?
- -A2-「ブイエスラド」は大きく3つの処理を行っています。被検者の画像を対照画像と比較できるように形を合わせこんだりする画像処理、被検者と対照画像の画像を比較する統計処理、そして結果表示です。「ブイエスラド」と同じことをしようとすると、「ブイエスラド」の処理プロセスそれぞれを様々な専用のプログラムで処理する必要があり、またそれぞれのプログラムではいろいろな設定を行わなければなりません。「ブイエスラド」はこうした設定値も予め決められており、ADの早期に特異的に萎縮の見られる関心領域も組み込まれております。ですから従来のやり方ですと再現性を得るのは困難ですが、「ブイエスラド」では同じ画像を入力すれば、誰が操作しても同じ結果が得られます。
- Q3
ADの早期診断では、SPECTやPETの方が有用ではないのですか?
- -A3-SPECTやPETもそれぞれ80%以上の正診率を有しますが、費用(自己負担)が高くまた実施可能施設が少ないなどの課題があります。一方、MRIは、費用(自己負担)も安価であり、広く普及しています。さらに、「ブイエスラド」を用いたMRI診断は、SPECTやPETに匹敵する正診率が得られると考えております。また、SPECTと「ブイエスラド」を用いたMRI診断を組み合わせると極めて高い診断率が得られるという報告があります。
(松田博史:機能画像による診断;アルツハイマー病:治療の可能性を探る-2005第19回「大学と科学」公開シンポジウム講演収録集 第19回「大学と科学」講演収録集,(2005)55-67)
- Q4
関心領域はどのように作っているのですか?
- -A4-【内側側頭部の関心領域】
国立精神・神経センター武蔵病院(現国立精神・神経医療研究センター病院)におけるAD前駆期の患者群と健常者群を解析し、統計的に有意に(*)萎縮しているところを関心領域としています。
*プラスでは T=6.5、アドバンスでは T=7 で検定しています。
プラスでは扁桃を含む両側海馬傍回付近、アドバンスでは海馬・扁桃・嗅内野の大部分となり、何れもBrodmann28野、34野を含みこれまでの学説通りの結果となっています。
Gomez-Isla T, Price JL, McKeel DW, Morris JC, Growdon JH, Hyman BT:Profound loss of layer II enthorhinal cortex neurons occurs in very mild Alzheimer’s disease. J Neurosci 16: 4491-4500, 1996
【背側脳幹の関心領域】
DLB群30例について、解剖学的アトラスの中脳(midbrain)および橋(pons)において、DLB群で特異的に白質萎縮がみられた部位(全脳白質萎縮割合と有意な負の相関がある部位)を求めました。
その結果、この部位は脳幹の背側部に位置することがわかりました。
Nakatsuka T, et al. Neuroradiology 2013;55:559-566.
- Q5
対照画像の健常者の条件を教えてください。
- -A5-◇MMSE、HDS-R正常
◇Wechsler Memory Scale-Revised (WMS-R)、Wechsler Adult Intelligence Scale-Revised (WAIS-R) 正常
◇年齢相応の白質の高信号がT2強調像でみられるのみ
◇糖尿病などの脳血管障害の危険因子がない
- Q6
対照画像(国立精神・神経センター武蔵病院のDB)は、他施設でも有効ですか?
- -A6-この対照画像を使用することとして医療機器としての承認を取得しており、有効です。
- Q7
対照画像に男性と女性の区別はあるのですか?
- -A7-現在の対照画像では男性、女性の区別はしておりません。
- Q8
対照画像が年齢別に分かれていますが、どれを使うべきでしょうか?
- -A8-対照画像を変えると解析結果が変わります。通常の使用では54~86歳の健常者データベースをご使用ください。
- Q9
個人情報の削除方法について教えて下さい。
- -A9-入力MR画像のDICOMファイルのヘッダー領域に含まれる個人情報の削除・書き換え、ファイル名の変更などが簡便にできるアプリケーション「Data
Remover for VSRAD」をご用意しております。
DICOM にはMRI の設定パラメータなど、撮像における様々な情報が含まれており、これらを保持したまま個人情報のみを削除したい場合に有効な方法です。ご活用ください。
※ 「Data Remover for VSRAD」は「アップデート・補助ツール」のページより入手できます。詳しい使用方法については、「DataRemover for VSRAD」のマニュアルをご参照ください。
※その他、処理結果ファイルから個人情報を削除する方法などの詳細はこちらをご参照ください。
- Q10
同じ施設内で複数のPCに「ブイエスラド」をインストールしても良いのですか?
- -A10-基本的には1ユーザー・1登録なので、同一ユーザーであれば複数PCへのインストールは可能です。
- Q11
他の先生にコピーを渡してもいいでしょうか?
- -A11-「ブイエスラド」は、使用許諾を得たうえでご使用いただくことを前提としており、さらにご利用の先生を登録させていただき、バージョンアップなどのご案内をいたします。ご利用を希望される場合は、コピーではなく、所定の申し込みの手続きをお願いします。
- Q12
海外の先生が興味を持ったので、渡してあげたいのだけど?
- -A12-「ブイエスラド」は海外に配布するために必要な膨大な権利処理を実施しておりません。トラブルが懸念されますので、海外でのご使用は禁止いたします。
- Q13
脳ドックで「ブイエスラド」を使用するときにも、神経心理学的検査を行わないといけないのでしょうか。
- -A13-「ブイエスラド」の結果のみでADの診断やADとDLBの鑑別診断を行うことはできません。臨床的にアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症が疑わしい症例における萎縮評価にご使用ください。脳ドック学会においても神経心理学的検査を行った上での実施が推奨されています。