- 概要
- 広範囲疼痛指標
- 症状重症度スケール
- スコア
2010年米国リウマチ学会(ACR)
線維筋痛症に関する予備的診断基準1):概要
2010年ACR基準では、下記の3要素の評価を求めている
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広範囲疼痛およびその他の症状が3カ月以上続いている
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身体の有痛部位を評価する広範囲疼痛指標(医療従事者が記入する質問票)
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疲労、起床時不快感、認知症状、その他の身体症状の程度や重症度を評価する症状重症度スケール (医療従事者が記入する質問票)
参考文献:
- 1)Wolfe,F.et al.:Arthritis Care Res 62(5):600, 2010
Part 1 :広範囲疼痛指標(WPI)
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WPIは患者さんが過去1週間に痛みを感じた部位の総数です。
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痛みの部位を確認した後、その数を合計し、用紙に記入してください。WPIスコアは0~19です。
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医師と患者さんが痛みの部位を特定する際には、身体の前面と背面の図をお役立てください。
Part 2a :症状の重症度(SS)スケール:重症度レベル
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SSスコアは、過去1週間に感じた疲労、起床時不快感、認知症状の各症状の重症度レベルを判定します
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各症状について、重症度の程度を1つだけお選びください。Part 2aのスコアは、重症度レベルを示す数字の合計です。
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Part 2bのスコアを計算した後、このPart 2aと2bのスコアを足して、SSの合計スコアを出します。
Part 2b :症状の重症度(SS)スケール:その他の身体症状
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SSスコアは、患者さんが過去1週間に感じたその他の
身体症状の程度を測定するのに使用します。 -
身体症状の数を数えて、その数に最もよくあてはまると考えられるスコアを選びます。
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Part 2bを行った後、このPart 2aと2bのスコアを足して、SSの合計スコアを出します。
例:
もし患者さんのWPIスコア(Part1)が9で、SSスコア(Part2aと2bの合計)が6であった場合、患者さんは線維筋痛症のACR予備的診断基準を満たしている。
もし患者さんのWPIスコア(Part1)が5で、SSスコア(Part2aと2bの合計)が7であった場合、患者さんは線維筋痛症のACR予備的診断基準を満たしていない。

スコアの意味
下記の3つの条件にあてはまる患者さんは、線維筋痛症の診断基準を満たしています
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a)WPIスコア
(Part 1)
が7以上で、
かつSSスコア
(Part 2aと
2bの合計)
が5以上またはb)WPIスコア
(Part 1)
が3~6で、
かつSSスコア
(Part 2aと
2bの合計)
が9以上 -
症状レベルが変わらず3カ月以上持続している
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他に痛みの原因となりうる障害がない
