UPDRSのスコア表

01 UPDRS PartⅠ 及び Ⅱ のスコア表

PartⅠ. 精神機能、行動および気分(合計点16点)

1

知的機能の障害

0

なし

1

軽度。健忘が一貫してみられるが、部分的に思い出す。他の障害はない。

2

中等度の記憶障害と見当識障害あり。複雑な問題への対処に中等度の障害。家庭内でも軽度ながら明らかに障害あり、ときに介助を必要とする。

3

重篤な記憶障害。時間と場所に対する見当識障害。問題への対処に重篤な障害。

4

重篤な記憶障害。見当識は人に対してのみ保たれている。判断や問題解決は不可能。身の回りのことにもかなりの介助が必要で、ひとりにしておけない。

2

思考の障害(認知症または薬物の副作用による)

0

なし

1

生々しい夢をみる。

2

良性の幻覚。幻覚であることはわかっている。

3

時々あるいは、しばしば幻覚・妄想がある。病識がなく、日常生活に支障をきたすことがある。

4

持続的に幻覚・妄想あるいは増悪期精神症がある。自力で社会生活ができない。

3

抑うつ

0

なし

1

時に通常以上の悲しみや罪悪感に悩まされる。数日や数週続くことはない。

2

1週間以上抑うつ状態が続く

3

不眠、食欲不振、体重減少、興味の消失を伴う抑うつ状態。

4

上記の症状に自殺念慮あるいは自殺企図を伴う。

4

意欲・自発性

0

正常

1

通常より受動的。より消極的。

2

選択的な(ルーチンではない)活動への意欲、興味の喪失。

3

日常生活動作(ルーチン)への意欲、興味の喪失。

4

引きこもり、意欲の完全な消失。

PartⅡ. 日常生活動作(オン・オフ 時に分けて評価)(合計点52点)

5

会話

0

正常

1

軽度の障害。理解するのに支障なし。

2

中等度の障害。時々もう一度くり返すように頼まれる。

3

高度の障害。頻繁にもう一度くり返すように頼まれる。

4

ほとんど聞き取り不可能。

6

流涎

0

正常

1

軽度に唾液が増加。夜間に流涎を見ることがある。

2

中等度に唾液が増加。流涎はごくわずか。

3

高度に唾液が増加。時に流涎。

4

高度に唾液が増加。流涎のためにティッシュやハンカチを常に必要とする。

7

嚥下

0

正常

1

まれにむせる。

2

時々むせる。

3

柔らかい食事にしないとむせる。

4

鼻管や胃瘻による経管栄養。

8

書字

0

正常

1

軽度に遅いか字が小さい。

2

中等度に遅いか字が小さい。すべての字は読める。

3

高度に障害。読めない字がある。

4

字のほとんどは読めない。

9

食事、食器の扱い

0

正常

1

やや遅くぎこちないが、介助は必要ない。

2

遅くぎこちないが、たいていの食事は箸やナイフ、フォークで食べられる。時に介助を必要とする。

3

食事は誰かに切ってもらう必要はある。遅いが食べられる。

4

介助で食べさせてもらう必要がある。

10

着衣

0

正常

1

やや遅いが、介助は必要ない。

2

ボタンを留める、そでに腕を通す時などに介助を必要とする。

3

自分でできることもあるが、かなり介助を必要とする。

4

自分では何もできない。

11

衛生(入浴・トイレ)

0

正常

1

やや遅いが、介助は必要ない。

2

シャワーや入浴に介助を必要とする。動作はとても遅い。

3

洗顔・歯磨き・整髪・浴室に行く際に介助を必要とする。

4

膀胱カテーテルやその他補助器が必要。

12

寝返りおよびふとんを直す

0

正常

1

やや遅くぎこちないが、介助は必要ない。

2

ひとりで寝返りをうったり、ふとんを直せるが、たいへんな努力を必要とする。

3

寝返りやふとんを直す動作は始められるが、一人ではできない。

4

自分ではまったくできない。

13

転倒(すくみ現象とは関係なしに)

0

なし

1

まれに転倒。

2

時々転倒、一日に一回以内。

3

平均して1日1回転倒。

4

1日1回以上転倒。

14

歩行中のすくみ

0

なし

1

歩行中にまれにすくみ。歩き始めにすくむことがある。

2

時々、歩行中にすくむ。

3

頻繁にすくみ、時に転倒する。

4

頻繁にすくみ、転倒する。

15

歩行

0

正常

1

軽度の障害。腕の振りがなかったり、足を引きずることがある。

2

中等度の障害。しかし介助はほとんど必要ない。

3

高度の障害。介助を必要とする。

4

介助があっても歩行不能。

16

振戦

0

なし

1

軽度。まれにある。

2

中等度。患者にとっては気になる。

3

高度。多くの日常生活動作の障害となる。

4

著明。ほとんどの日常生活動作の障害となる。

17

パーキンソニズムに関連した感覚障害

0

なし

1

時々しびれ、ちくちく、または軽度の痛みを感じる。

2

頻繁にしびれ、ちくちく、または痛みを感じる。苦痛ではない。

3

頻繁に痛みを感じる。

4

耐え難い痛み。

Fahn S, Elton R, Members of the updrs Development Committee. In: Fahn S, Marsden CD, Calne DB, Goldstein M, eds. Recent Developments in Parkinson’s Disease, Vol 2. Florham Park, NJ. Macmillan Health Care Information 1987, 153-163, 293-304.

02 UPDRS PartⅢのスコア表(合計108点)

PartⅢ. 運動機能(オン時に検査する)

18

言語

0

正常

1

表現、用語、声量に軽度の障害がある。

2

中等度の障害。単調で不明瞭だが理解できる。

3

高度の障害。理解が困難。

4

理解不能。

19

顔の表情

0

正常

1

わずかに表情が乏しい。ポーカーフェイス。

2

軽度だが明らかな表情の乏しさ。

3

中等度の表情の乏しさ。口を閉じていない時がある。

4

仮面様で、ほとんど表情がない。口は0.6cm以上開いている。

20

安静時振戦(顔面、左手、右手、左足、右足)

0

なし

1

わずかの振戦が、時にみられる程度。

2

軽度の振幅の振戦が持続的に出現。または中等度の振幅の振戦が時々出現する。

3

中等度の振戦が大部分の時間に出現。

4

高度の振戦が大部分の時間に出現。

21

手の動作時振戦または姿勢時振戦

0

なし

1

軽度。動作に伴って起こる。

2

中等度の振幅。動作に伴って起こる。

3

中等度の振幅。動作時、姿勢保持時に起こる。

4

高度の振幅。食事の動作が障害される。

22

(筋)強剛(患者は座位で安静にしている。主要な関節で判断する。歯車現象は関知しない)(頸部、左上肢、右上肢、左下肢、右下肢)

0

なし

1

軽微またはミラームーブメントや他の運動で誘発できる程度。

2

軽度ないし中等度の(筋)強剛。

3

高度の(筋)強剛。しかし関節可動域は正常。

4

著明な(筋)強剛。関節可動域に制限あり。

23

指タップ(親指と示指をできる限り大きな振幅で素早くタップする。左右別々に)(左手、右手)

0

正常

1

やや遅いか、振幅が小さい。

2

中等度の障害。疲れやすい。時々動きが止まることがある。

3

高度の障害。動作開始時にしばしばすくむ。または動作中に止まる。

4

ほとんどできない。
24

手の運動(できるだけ大きく、素早く手の開閉をくり返す。左右は別々に)(左手、右手)

0

正常

1

少し遅いか、振幅が小さい。

2

中等度の障害。すぐ疲れてしまう。時に運動が止まることがある。

3

高度の障害。しばしば開始時にすくみ、運動が止まる。

4

ほとんどできない。

25

手の回内・回外運動(垂直や水平の位置で、できるだけ大きく。両手を同時に)(左手、右手)

0

正常

1

やや遅いか、振幅が小さい。

2

中等度の障害。すぐ疲れてしまう。時に運動が止まる。

3

高度の障害。しばしば開始時にすくみ、運動が止まる。

4

ほとんどできない。

26

下肢の敏捷性(下肢をあげてかかとで床をタップする。かかとは7.5cm 以上あげる)(左下肢、右下肢)

0

正常

1

やや遅いか、振幅が小さい。

2

中等度の障害。すぐ疲れてしまう。時に運動が止まる。

3

高度の障害。しばしば開始時にすくみ、運動が止まる。

4

ほとんどできない。

27

イスからの立ち上がり(背もたれ付きのイスから腕を組んだまま立ち上がる)

0

正常

1

遅い。または一度ではうまくいかないことがある。

2

立ち上がるのに肘掛けに腕をつく必要がある。

3

一度ではうまくいかず、イスにふたたび倒れ込むことがある。しかし、介助なしで立ち上がれる。

4

介助なしでは立ち上がれない。

28

姿勢

0

正常

1

軽度の前屈姿勢。高齢者では正常な程度。

2

中等度の前屈姿勢。明らかに異常。一側にやや傾くこともある。

3

高度の前屈姿勢、脊柱後彎(亀背)を伴う。一側に中等度に傾くこともある。

4

高度の前屈姿勢。極端に異常な前屈姿勢。

29

歩行

0

正常

1

歩行は緩慢。歩行は小刻みでひきずることもある。加速歩行や前方突進はない。

2

歩行は困難を伴うが、介助は必要ない。加速歩行や前方突進あり。

3

高度の障害。介助を必要とする。

4

介助があっても歩行不能。

30

姿勢の安定性(後方突進現象)

0

正常

1

後方突進現象があるが自分で立ち直れる。

2

後方突進現象。支えなければ倒れてしまう。

3

きわめて不安定。自然にバランスを失う。

4

介助なしでは立てない。

31

運動緩慢、運動減少(運動緩慢、躊躇、腕振りの減少、運動の振幅の減少と運動量の減少を総合的に評価する)

0

なし

1

わずかに緩慢。ゆっくりとした動作。人によっては正常のこともある。運動の振幅がやや小さいこともある。

2

軽度の運動緩慢。運動量が明らかに低下している。運動の大きさがやや低下。

3

中等度の運動緩慢。中等度に運動量が低下、または運動の大きさが低下。

4

高度の運動緩慢。高度に運動量が低下。または運動の大きさが低下。

Fahn S, Elton R, Members of the updrs Development Committee. In: Fahn S, Marsden CD, Calne DB, Goldstein M, eds. Recent Developments in Parkinson’s Disease, Vol 2. Florham Park, NJ. Macmillan Health Care Information 1987, 153-163, 293-304.