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- FAQ
弊社hhcホットラインでは、ワーファリンと飲食物・健康食品の相互作用に関するお問い合わせを年間(2015年1月~12月)約1,700件(薬剤師の先生:900件、患者さま:800件)頂いております。
日頃、薬剤師の先生方や患者さまからhhcホットラインにいただくお問い合わせで、ワーファリンと飲食物・健康食品(サプリメント)との相互作用に関する回答事例をご紹介いたします。
お問い合わせが多い飲食物・健康食品(サプリメント)の一覧
Q1:野菜はどのくらいなら食べてもよいですか
A1.野菜の中にはビタミンKを多く含んでいるものがあります。緑の色の濃い葉物の野菜(ほうれん草など)はビタミンKが多いので、大量に食べないように注意してください。1日に小鉢一杯程度を目安にしていただき、毎日一定量を食べることをお勧めしています。
【ご参考】
指導箋の内容をご紹介しています。
- ・「ビタミンK含有量を細かく気にする必要はありませんが、1日の摂取量が過量にならない範囲(野菜であれば小鉢程度)で一定にし、一時的な大量摂取は避けてください。」〔WF手帳WF0043(9頁)〕
- ・「緑黄色野菜や海草類はワーファリンの働きを弱めるビタミンKを多く含むものがあります。そのため一度に大量に摂取するとワーファリンの働きを弱める可能性がありますので、その様な摂取を避けてください。しかし緑黄色野菜や海草類を全く取らないことは栄養上良くないので、毎日一定量(小鉢程度)を摂るようにしてください。」〔指導箋WF0019(5頁)〕
野菜の問い合わせ概要(hhcホットラインへの問い合わせより:2015年1月~12月)
Q2:市販の野菜ジュースは飲んでもよいですか
A2.市販の野菜ジュースにはビタミンKが含まれているものがあります。ビタミンKを大量に摂取しますとワーファリンの効果が減弱する可能性があります。ビタミンKの量が表示されていない野菜ジュースの場合は、飲用を避けていただいた方が無難です。
ビタミンK含量が表示されている野菜ジュースの場合は、その含量を確認してください。含量が少なければ飲んでいただいて結構です。なお、1日のビタミンKの摂取量が250μgであれば影響がないとする報告1,2,3)がありますが、個人差がありますので、ご注意ください。
【参考文献】
- 1)WF-0944
- 2)WF-1410
- 3)WF-3189
市販の野菜ジュースの問い合わせ概要(hhcホットラインへの問い合わせより:2015年1月~12月)
Q3:納豆は少量でも食べてはいけませんか
A3:少量であっても、納豆は禁止いただきますようお願いいたします。
納豆には大量のビタミンKが含まれていることに加え、納豆菌により腸内でビタミンKが産生されますので、さらにワルファリンに対して拮抗作用を示します。
納豆30gおよび10gの少量の摂取でも血中ビタミンK濃度は有意に上昇することから、納豆は少量といえども禁止すべきである1,2)と「Warfarinの適正使用情報 第3版」p509に記載があります。
【参考文献】
- 1)日本血栓止血学会誌.7.239(1996) (WF-0972)
- 2)医薬ジャーナル.33.2559(1997) (WF-1073)
Q4:納豆は禁止とお伝えしていますが、食べてしまった場合、どのくらい影響しますか
A4:納豆を食べた後、数日間、凝固能検査に影響する可能性があります。
健康成人にワルファリンを投与し、トロンボテスト値の低下後に納豆100g(市販の大きいパック1包)を摂取した試験1)では、ワルファリンを継続して投与したにもかかわらず、24~72時間トロンボテスト値の高値が持続した(図1)というデータがあります。
【参考】
- 「Warfarinの適正使用情報 第3版」冊子p509
【参考文献】
- 1):医学のあゆみ.104.36(1978) (WF-0005)
納豆の問い合わせ概要(hhcホットラインへの問い合わせより:2015年1月~12月)
Q5:健康食品(サプリメント)との相互作用を教えてください
A5:健康食品(サプリメント)は複数の成分を含有している可能性があり、影響が不明な点が多いため、あらたな摂取は避けていただくのがよろしいかと思います。
どうしても摂取したいという場合は、凝固能検査で影響を確認頂くことになりますので、お医者様にご相談して頂いてください。
健康食品(サプリメント)の問い合わせ概要(hhcホットラインへの問い合わせより:2015年1月~12月)
Q6:アルコールを飲んでもよいですか。飲んだ時はどのくらい空ければよいですか
A6:電子添文の併用注意の項に「アルコール」を記載して注意喚起していますが、晩酌程度の量であれば毎日摂取してもほとんど問題ありません。 脱水症状を起こしたり、肝障害を引き起こしたりするような過度の飲酒は避けるようにお願いします。1)
なお、ワーファリンの服用は、アルコール摂取から6~7時間以上の間隔をあけて頂くようお願いしています2)。1日のうちでいつ服用されても問題はございません。飲み忘れのない時間の服用をご指導お願い致します。
【ご参考】
- 1)くすりのしおり
- 2)「Warfarinの適正使用情報 第3版」冊子p504
アルコールの問い合わせ概要(hhcホットラインへの問い合わせより:2015年1月~12月)
Q7:緑茶は飲んでもよいですか
A7:日常の摂取量であれば、特に気にする必要はありません。
茶葉にはビタミンKが多く含まれていますが、ビタミンKは脂溶性のため、浸出液にはほとんど溶けだしてきません1)。ただし、茶葉を直接摂取することになる抹茶、粉茶は大量に飲まないように御注意ください。
【ご参考】
- 1)くすりのしおり
- 2)「Warfarinの適正使用情報 第3版」冊子p504
緑茶の問い合わせ概要(hhcホットラインへの問い合わせより:2015年1月~12月)
Q8:摂取してもよい、ビタミンKの1日最大量は何μgですか
A8:患者さんの背景により凝固能に影響するビタミンKの摂取量にはバラツキがあり、どれくらいのビタミンKの摂取量が影響するか明確にはなっていません。
ビタミンK1の1日最高摂取量が、250μgで凝固能(トロンボテスト値)に影響しなかったという国内データ1)があります。
Karlson2)らは、ビタミンK1の100μgを連日投与、あるいは250μg単回投与では凝固能(トロンボテスト値)への有意な影響はなく、連日の大量(250μg)摂取が問題であることを指摘しています。
【参考文献】
- 「Warfarinの適正使用情報 第3版」冊子p508
- 1):アルメイダ医報.19巻.3号P.294~295(1993)(WF-0944)
- 2):Acta.Med.Scand.220巻4号P.347~350(1986)(WF-0488)
【ご参考】
- ※日本人の1日ビタミンK摂取量
- ①平成25年の国民健康・栄養調査には、男性:平均227μg/日、女性:平均213μg/日を摂取していると記載されています。
- ②病院食の平均ビタミンK量は、朝米飯食で256μg/日、朝パン食で226μg/日であった。出典:静脈経腸栄養25 巻1号P.311(2010) (WF-3214)